無印良品 キャンプ場

特集 | 2020 WINTER
波音に身を任せて

海辺に集う

あそんだ人◯中島英摩、本間加恵、細沼ちえ、土屋きみ

友達の友達と初めましてと会うならば、いつもは、
近所の店だったり、誰かの家だったりする。
それがもし、全然違う場所、たとえば非日常の
大自然の中だったりしたら、
私たちはどんなふうに仲良くなるだろう。
楽しい時間を過ごすために、
一緒に居心地の良い場所を作り、あそびを見つけ、
持ちよったおいしいもので乾杯する。
焚き火を囲んで笑い合い、おしゃべりして、
気がついたら次の約束もしている。
そんな仲を深めるキャンプを、
シーズンオフの海辺でやってみた。

「気分転換に、海辺でキャンプしてみない」という呼びかけ人からのお誘いに、ノリノリで「行く!」と参加表明したのは4名。参加条件はただひとつ「みんなで分かち合いたいおいしいものを持ってくること」。シーズンオフの海に向かう電車は、次第にガラガラになって、終点が目的地。小道の先には、貸切状態のビーチが待っている。
「初めまして」と緊張気味のあいさつののち、まずは分担してコーヒーを淹れる。お湯を沸かす人、豆を挽く人、カップを用意する人、淹れる人、見守る人。温かいコーヒーに一息ついたら、「テントをたてよう!」と第2の共同作業。あ、せっかくの非日常な環境だから、スマホも今日はしまっておこう、と一同封印。
(左)さて、何もないビーチで何をする? と、1人がおもむろに取り出したのは凧。「子どもの時以来やってない!」「できるかな!?」と、ワクワクしながら糸を繰り出す。初めは上手くいかない様子。次第に海から吹く風に乗って、凧はゆらゆらすいすい空を泳ぎだす。

(右)下を見ながら砂浜を歩いているメンバーに「なにしてるの〜」とみんなが近づいて行くと、「きれいでしょう」と手のひらに見せてくれたのはシーグラス。波に洗われたガラスの欠片の繊細な色に、一同うっとり。「私も探そう」「私も!」と砂浜散策が始まる。
砂浜散策しているうちに岩場の先まで足を延ばした一行。「大丈夫?」「足元気をつけて」と一列に進むさまは、信頼関係で結ばれた探検隊か!? 細い階段を上り、岬の向こうへ出ると、そこは誰もいない広々した岩場。ドキドキ感を共有しながら、海を眺める。「そういえば、もう1人来るんだよね?」「うん、そろそろ着くかも」「戻って乾杯の準備でもしようか」。
「あ、やっと来た!」 「お待たせ〜!」

おいしい! と楽しい! を一緒に過ごして
「初めまして」の緊張は溶けていく

あそんだ人○中島英摩/本間加恵/細沼ちえ/土屋きみ

〈シーズンオフの海辺に夕暮れがやってくる頃、遅れていた一人が到着。焚き火を囲んで乾杯、そしておしゃべりの始まり〉

一同 待ってたよ~!

きみ:やっと合流できた!

──(呼びかけ人)ここ、座ってね。

きみ:ありがとう! 遅くなってごめんなさい。はじめまして、きみです。おいしいワインと、大好きなドライイチジク持ってきました!

ちえ:わぁ! おいしいものが好きな人が来るって聞いてたから、楽しみにしてたの。ちえです。よろしくね。

えま:えまです。はじめまして。

かえ:かえです。よろしくお願いします。

きみ:みんなも電車? 普段は忙しなく地下鉄で移動してるから、こんなにのんびり電車に揺られるのは久々で、既にリフレッシュできた気分!

かえ:うん、旅気分が味わえた!

えま:私、みんなよりちょっと早く着いたから、シーグラス拾って待ってたの。ほらこれ、見て。

きみ:わぁ、きれい。明日の朝、私も探したい!

──さっき、みんなでも一緒に探してたんだけど、子どもに戻ったような気分で夢中になっちゃった(笑)。

えま:そうそう、その感覚わかる! シーグラスって、ビンの欠片なんだけど、波に揉まれてこうして角が丸くなるの。植物のポットに敷き詰めたりするとかわいくなるんだよ。

ちえ:色も形もいろいろでいいよね。

──そろそろ即席火鍋できたみたい。......はい、どうぞ!

きみ:いただきまーす! (ハフハフ)あ、おいひい......。

かえ:こっちのえまちゃんの手作りおつまみもおいしいよ。

えま:たくあんとクルミとクリームチーズを混ぜただけの超簡単おつまみ。

ちえ:これおいしいね。止まらない(笑)。

えま:よかった! 私、チーズが大好きで、おいしいチーズを食べたくて、ヨーロッパにキャンプしに行くくらいなの。だから、ちえちゃんセレクトのチーズもたまらない。

かえ:きみちゃんが持ってきたイチジクと一緒に食べてもおいしそう。

ちえ:確かに! やってみよう。

きみ:こうやって、好きなものを共有すると、言葉で自己紹介するよりもその人のことがわかるような気がして、うれしくなっちゃうんだよね。

えま:本当にそうだね。かえちゃんが持ってきたナッツも止まらないよ!身体を動かし、焚き火を囲んで、心もすっかり解れていく

きみ:みんな集まってからは、どんなことをしてたの?

ちえ:コーヒー飲みながらまったりしたり、凧揚げしたり。

きみ:凧揚げ⁉

かえ:風に乗せるのが、意外と難しくて。

えま:でも、一緒にやったら高く上がってね。

かえ:そうそう、うれしかったー!

──最初は「初めまして」だから緊張気味だったかもしれないけど、一緒に凧揚げして打ち解けた感じあるよね。

ちえ:あと、岩場の向こうまで散歩したのも楽しかったよ。

きみ:え! 向こう側に行けるの?

ちえ:そうそう、歩いて行ったら細い階段があってね。そこを上って行ったら、急に景色がひらけて。

かえ:この季節だから誰もいなくて、なんか秘境に来たみたいだった。

えま:岩場に小さい海鳥がいたり、砂浜にヤドカリがいたりして。

かえ:すっかり探検気分だったよね。

きみ:一緒に行きたかったぁ。 朝、もう一回行こうよ!

ちえ:うん、朝のお散歩に行こう。

──ねえ、だんだん日が暮れてきたね。

きみ:こういうふうに波の音を聞きながら夜になっていく感じいいね。

えま:私、山を走ったり歩いたりするのに海外に行って一人でキャンプするんだけど、そういう時は日が暮れたら寝て、日の出と共に起きるの。

きみ:そういうの、いいな。都会で過ごしていると、夜型になりがちで。

えま:自然に身を任せるって、 気持ちいいよ。

ちえ:今日も風とか波とかに遊ばせてもらって気持ちよかったね。独り占めだったし。

──シーズンオフならではの贅沢だね。それにしても、なんかもう初めましての気がしないね。

ちえ:あ、ほんとだ、今日初めて会ったという事実も、ちょっと忘れてた(笑)。

かえ:いつもは初対面、緊張しちゃうのに。

えま:私も。でも、今日はとってもリラックスしてる。外だからかなぁ。

──お互い年齢も仕事もまだよく知らないけど、なんか、心地いいね。

かえ:普段は肩書きとか年齢とか気にしちゃうけど、今日はそういうの忘れてたよ。

ちえ:こういうシチュエーションだと、そういうのどうでもよくなっちゃう(笑)。

えま:ね。こうして揺れる焚き火の灯りの中でおしゃべりする時間、好きだなぁ。

かえ:今日は、一日がいつもよりあっという間に感じる。今日が終わっちゃうのが、ちょっと寂しいくらい。

ちえ:わかる。時間の流れる感覚がいつもと違う。また今度、みんなでサクッとキャンプとかしたいな。

きみ:今度キャンプするときは、鶏ガラスープの炊き込みご飯つくるよ!

かえ:なにそれ、おいしそう!

えま:おいしいもの好きのきみちゃんのご飯食べたい~!

──じゃ、今度はどこで女子会キャンプする? 明日の帰り道はその計画ね!

(左上)なかじまえま|1984年京都府生まれ。ライター。トレイルランニングをきっかけに、国内外問わずさまざまな山を登る日々。(右上)ほんまかえ|1995年東京都生まれ。写真を撮るのが大好きで、プロに。ロケハンを兼ねていろいろな場所にドライブするのが好き。(左下)ほそぬまちえ|1980年埼玉県生まれ。スタイリスト。貝の形が好きで、オリジナルでアクセサリーをつくるほど。離島を旅するのが好き。(右下)つちやきみ|1990年神奈川県生まれ。フードディレクター。おいしいものが大好きで、最近は絶品アップルパイを探すのにハマっている。

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