特集 | 2012 AUTUMN/WINTER
とっておきの空を持って帰ろう

カメラを片手に「夜」に向かう

あそんだ人◯「外あそび」編集部

真っ青な空が少しずつ黄金色に変わる頃、
カメラを片手に空を探して、都会から郊外へ。
暗くなり、昼間見えていた景色が見えなくなっていくにつれて、
見えてくる夜の景色が、そこにはありました。

暗くなってからの撮影は三脚が必須。きちんと固定すればシャッタースピードが遅くても大丈夫。ナイトピクニック気分で暖かい飲み物やおやつも持っていきましょう。夜は冷えるので防寒具も忘れなく。
デジタルカメラには様々なモードがありますが、夕暮れや夜の撮影では、絞りもシャッタースピードも自由に決められるマニュアルがオススメ。コツをつかめば難しくありませんよ。
月夜に30秒/F4で撮った写真(下)。シャッタースピードを遅くして長時間露光すると、月明かりで昼間のように明るく木漏れ日のような影が。知らなかった夜の景色が見えてきます。
月の出ている曇り空の夜。右の写真は1.6秒/F8、左は8秒/F8でシャッターを切りました。露光時間の長さで同じ風景がこんなに違う明るさに。
初心者に「?」な設定がISO感度。ISO感度の数値を上げれば、暗いところでも明るく写りますが、その代わり写真にざらっとしたノイズが出てしまいます。夜の撮影はISO400に設定しておけば十分。

夕暮れ時、桃色や橙色のグラデーションに彩られた美しい空を見ることができると、偶然宝物を見つけたような、なんだか得した気分になります。光の移り変わる夕暮から夜にかけて空の表情はさまざまで、天気や季節によっても異なるもの。そんな夜へ向かう空の変化を追いかけて、カメラを片手に小さな旅に出発です。

ドラマチックに空が変化するのは夕暮。太陽がかたむきはじめると同時に、黄金色から朱、赤、紫、藍へと移り変わる空はうっとり心奪われる美しさ。そんな空を写真に切り取るべく、シャッタースピードをいろいろ試して好きな明るさをつかまえます。空の色を主役に手前にあるものをシルエットにしたり、あるいは少し明るめに手前の木々や人のニュアンスを残したり。カメラを三脚で固定し、同じアングルで何度もシャッターを切ってみると、流れる雲の様子がコマ撮りアニメーションのような連続写真が撮れました。

カメラをとおして、暮れゆく西の空を夢中になって見つめているうちに、気づけば空全体が夜へと変わっていました。

街中では地上の人工の光が明るくて、夜空の星の光が見えにくいもの。でも、確かにそこにあるはずの星の光を求めて、暗い夜の山へ向かいます。

暗い森の向こうには、キラキラと街の光がまたたきます。三脚にカメラを固定して一・六秒でシャッターを切ってみると、空に浮かんだ雲に街の光が反射して、夜なのに空は不思議な明るさに。カメラを上に向けてみれば、ほんのり光る雲の間に星が輝く夜空が! じっと目をみはるように長時間露光で撮影すると、黒々とした木々のシルエットが自然のフレームになって、夜空の紺色を際立たせます。

夜空の色は黒く見えるほど深い青であること、はかなげに思えていた星の光は実は小さくても強いこと、街の光のまばゆいこと。カメラというもう一つの眼を使ってみると、夜の空もまた、ただ暗いのではなく、表情豊かなことに気付かされるのです。

帰ってきた後、カメラに収めた写真の数々をプリントしてみると、一枚一枚から見えてきたのは、出会いの証、感動の記憶、そして未知との遭遇。そんな思い出といっしょに写真を飾れば、部屋の中にたくさんの空が広がりました。それを見ながら今回の小さな旅を思い返すと、またすぐにでもカメラを片手に出かけたくなってしまいます。さて、次は何に向かってでかけましょうか。

「外あそび」編集部 | 無印良品キャンプ場発行の「外あそび」編集スタッフ。アウトドアのさまざまな楽しみ方を探求し、海へ山へキャンプ場へと足を運び、いろいろな人に出会いながら、外あそびを楽しんでいます。

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