無印良品 キャンプ場

みんなの外あそび | No.165
一坪畑、始めました

自産自消への遥かなる道

原亮太/編集者

きっかけは突然だった。
いや、実際には、きっかけはいつも近くにあったけど、それに突然気が付いた。が、正しいのかもしれない。

我が雑誌「オーシャンズ」で、モデル・三浦理志さんらの畑のある暮らしを特集した。「SURF & NORFな男たち」(2021年2月25日発売号)。その誌面を読んでいて、急に感化させられてしまったのだ。

三浦さんが、畑をやっていることは何年も前から知っているし、その魅力も以前から聞いていた。けれど、何も行動は起こさなかった。なのに、本を通じて突然、我が家の無法地帯であった庭の片隅を畑にしようと思い立った。

今、スマホを振り返ると、3月14日に1枚目の記念写真を撮っている。

草はボーボー、木はボサボサ、使っていない植木鉢も方々に。まずは掃除からだ。見える部分をひたすらきれいにして、枝を切り落とし、埋まっている石や草の根をかきだす。それが終わったら土をおこし、腐葉を入れ、作物が育つ環境を整える。

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総面積は一坪程度。やったことを文字にすれば、たったの114字。だけど、実際にかかった時間は3週間。始めるまえに持っていた「今日から自産自消だぜ♪」という呑気はスタンスはたちまち崩された。

でも、土をいじるのは楽しかった。きれいになった"一坪畑"には、トマト、ナス、パクチー、バジルをそれぞれ二苗、唐辛子、ニラ、レモンバームを植え、見よう見まねで追肥をし、脇芽を取り、支柱をつけた。初心者らしい過保護っぷりだったと思うけれど、それに応えてくれた野菜たちは2ヵ月後、とんでもないことになった。

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トマトは背丈を越え、ナスは左右に出しゃばる。虫除けネットの中のバジルは乗車率180%の通勤電車のようだ。明らかに植えすぎた。なんとか整理しなければ......初めてのことはうまくいかないものである。

でも、やっぱり土をいじるのは楽しい。実が膨らみ、色づくと、うれしい。この間、息子と初めて収穫したトマトを食べた。「意外とおいしい」と言われて、またやる気に火がついた。

はらりょうた | 1979年愛知県生まれ。出版社に勤務しファッション誌の編集としてキャリアを重ね、2008年から雑誌「OCEANS」に携わり、現在は「OCEANS WEB」の編集長を務める。仕事の傍ら、好きなキャンプと釣りを楽しむ日々。休日はジッとしていられず、必ずどこかへ……。この春からは自産自消を目指し、自宅の畑で野菜作りに勤しんでいる。

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