無印良品 キャンプ場

みんなの外あそび | No.159
北の妖精

エゾリスを追って

金谷恭平/無印良品キャンプ場スタッフ

大学入学時にカメラを購入した。
数万回切ったシャッターの被写体は、そのほとんどがエゾリスである。

自宅から自転車で30分、いつものフィールドに到着する。真新しいカメラを首に下げ森を歩く。
「ガサガサッ」目の前を何かが走り抜けていった。ピンと上を向いた耳、クリクリした瞳、モコモコの体、長い尻尾。こんな可愛らしい生き物がいるのか。

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これが彼らとの初めての出会いである。

ぬいぐるみのようなその愛らしい姿に魅了されてしまった私はそれからというもの、暇さえあればカメラを持ち出し、森を歩いた。猛吹雪の中、雨でびしょ濡れになりながら、真夏の太陽に焼かれながら気づけば一日中彼らの姿を追っていたこともある。

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4月下旬。
眠い体を起こし、始発電車に乗って2時間半。北海道浦臼町の浦臼神社を訪れた。
長い冬の間、雪の下でじっと春を待ちわびていた植物たちが一斉に芽吹く季節。神社の境内には北海道の春を代表する植物、エゾエンゴサクとカタクリが咲き乱れる。冬枯れの林に淡い青とピンクの絨毯が広がり、風が吹くたびにその小さな花を揺らす。ヤマガラのさえずりが心地よい。

夢中でシャッターを切っていると、どこからともなく彼らが飛び出してきた。
一面に咲く花の中をエゾリスが忙しなく駆け回る。

その情景はまさにファンタジーである。

知床の海岸を歩くヒグマ、オホーツク海を雄大に飛ぶオオワシ、線路を歩く親子キツネ。
北海道各地を巡り様々な情景をファインダー越しに覗いてきたが、この光景ほど心が躍ったことはない。
再び無心でシャッターを切る。まるでおとぎ話の世界に入り込んだようであった。

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帰りの電車に揺られながら缶コーヒーを片手に撮った写真を眺める。私にとって至福のひと時である。

そして私は今、新潟県の津南町にいる。
キャンプ場までの山道の途中、何度かリスを見かけた。ここにいるリスは北海道のエゾリスとは違いニホンリスという種類になる。この町でも私はリスを追うだろう。

心が躍る写真を求め今日もまた森を歩く。

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かなやきょうへい|1992年北海道生まれ。無印良品津南キャンプ場スタッフ。幼い時から外で遊ぶことが大好きで、学生時代はカメラ片手に道内各地を巡り動植物の撮影に尽力する。おいしいお米に日本酒、温泉。早くも津南の虜になってしまったようだ。

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