無印良品 キャンプ場

みんなの外あそび | No.156
日常の移動が喜びになる自転車

乗ればB級グルメがA級グルメに!?

佐藤旅宇/フリーライター

えっ、自転車の素晴らしさをご存知ない? そいつはもったいない。
簡単に言いますとね、自転車ってのは、徒歩の視点のまま高速かつ広範囲に移動できる乗り物なんですよ。ほら、散歩をすると長年住み慣れた町でも新しい発見や出会いがあったりするじゃないですか。車や電車よりうんと小回りが利いてスピードが遅く、ヒトと風景を隔てるドアもガラスもないからこその面白さ。自転車はその散歩の面白さをそのままスケールアップした感じです。乗り慣れてくるとヒラヒラと手足のように操れて、十キロ以上の距離もなんのその。ちょっと気になる場所があったら、細い路地だろうが何だろうが躊躇なく寄り道できる。

おまけに風ですよ、走行風。あれがどうにも気持ちよくってねえ。ほら、最近はバスだってなかなか窓を開けて走るってことってないじゃないですか。これは私の個人的な見解ですが、走行風には人間の脳を活性化し、五感を鋭敏にする不思議な力があると思いますね。頬に風を受けながら走ると周囲の風景がしみ込むように目に入ってきて、なぜか色彩まで鮮やかに見えてくる。ホントですよ。自転車は何のことはない日常的な移動を、充足感に満ちた有意義な時間に変えてくれるんです。

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で、ここんとこ私は古い商店街を自転車で巡るのが好きなんです。ほら、昭和の匂いの漂う昔からの商店街ってあるじゃないですか。ああいう場所ってすごく魅力的ですけど、遠方からクルマや電車を使ってわざわざ行くほどのことでもない。自転車でちょっと足を延ばして訪れるくらいがちょうどいいんですね。そこに行って今川焼なんかを食べるだけで、すごい幸福感が得られる。先ほどの走行風で感受性が鋭敏になるって話に通じますけど、自転車に乗った後のB級グルメは、A級グルメに格上げされちゃう。私は横浜市在住なので東急線の東白楽駅近くにある六角橋商店街がお気に入りです。ここの「味楽」って食堂の餃子は絶品ですよ。皮まで手作りしているのに信じられないぐらい価格も安い。自転車でぶらり、そして餃子をぱくり。おすすめです。

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広範囲を気軽に移動できる――そういう乗り物を手に入れると、日常的にもっといろいろな場所に行ってみようって気持ちが自然と湧き上がってきます。いつの間にか夏休みの小学生みたいな心持ちになって、〝近くて遠い〟隣町を目指してペダルをこいじゃうんです。

さとうりょう|1978年神奈川県生まれ。自転車専門誌の編集部を経て2010年にフリーライターとして独立。元々はオートバイ好きだったが、自転車で東京~金沢を旅したことをきっかけにサイクリストへ。気軽な食べ歩きからレースまで、自転車にまつわる遊びは何でも好き。2018年より、自身のWEBメディア「GoGo-GaGa!」にて自転車を含むパーソナルな乗り物の魅力を広く発信中。

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