みんなの外あそび | No.154
大自然の偉大さを体感する

グレートウォークに魅せられて

喜田恭子/無印良品キャンプ場スタッフ

ニュージーランドでは山歩きのことをトランピングという。ニュージーランドの代表的なアクティビティで、国内のどこに行ってもトラック(トランピングのコース)が整備されている。トラックの中には、「グレートウォーク」と呼ばれる9つのコースがある。いずれも山小屋に泊まりながら2~5日ほどかけて歩くコースで、コースにはニュージーランドを代表する自然が特に色濃く残っている。自然保護のために一日に入山できる人数も決まっており、事前予約制となる。ニュージーランドを旅している間、私はこのうち3つのコースを歩いた。

その印象は「圧巻」、この一言に尽きる。曇っていても美しく、青空が見えると更にうれしい。植物や動物から日本とは違う生態系に感動する。壮大な自然の中にぽつん、と自分がいる。

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東京で高い人工物のビルに囲まれるよりも自然の中にいる方が世界の大きさを実感する。人は自然に敵わない。けれど、私たちを無条件に包みこんでくれる様に私の心はふっと軽くなる。母なる大地、この言葉に深く共感する。

山小屋の前に広がる湖で、疲れを癒し、山小屋の管理人からその土地の歴史を学ぶ。素肌をできる限りおおって山に臨む日本人とは違い、欧米人は半そでにハーフパンツ、そんな文化の違いに触れることも面白かった。

ただ、特に行きたかったコース(大好きな映画の舞台となった場所)は、大雨と強風のために入山できず、「世界一美しいと呼ばれる遊歩道」と言われるコースはその人気を甘く見ていて、予約すら取れなかった。また、ファンガヌイ・ジャーニーというグレートウォークの中で唯一カヤックやカヌーで川を下るコースを知って、「これいい!」と思ったものの、カヌー・カヤックの未経験者が3~5日もの間ずっと川を下れる自信がなくて断念。そう、まだこんなにも心残りがある。また行かなきゃ!

帰国後、嬬恋キャンプ場で働くことになった。仕事を通してカヌーが学べ、ニュージーランドの夏に当たる二月はオフシーズンで休みがとりやすいだろう......と企んでいた私が、嬬恋キャンプ場の二月はわかさぎ釣りの営業で忙しいと知ったのは入社してからの話。

きだきょうこ|1987年岡山県生まれ。無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場スタッフ。「人は歩いているとストレスを感じない」という話を信じ、暇があれば山だろうと街だろうとてくてくしている。趣味は散歩。最近は、ニュージーランドでの川下りを実現させるべくカヤックを猛特訓中。

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