無印良品 キャンプ場

みんなの外あそび | No.153
できた!小さな雪だるま

雪を訪ねて父娘ふたり旅

KOJI/マジシャン・魔法つかい

「雪がた~くさんあるところで、雪だるまをつくりたいなぁ。それでね、魔法をかけるの」と、『アナと雪の女王』を見ていた娘が、ポツリ言いました。

「じゃあ行く?」

こうして、父と娘のふたり旅が決まりました。東日本大震災の時に出会った人々を再び尋ねて魔法を披露する岩手への旅を企画していたので、娘も一緒に連れて行くことにしたのです。
はじめ、新幹線の窓から見えてきた雪景色に大喜びしていた娘でしたが、次第に表情が少しずつ曇ってきました。

「ねぇ......なんでこんなにいっぱいあるの? 怖い......おうち帰れる?」

見渡す限りの雪景色を初めて目の当たりにして、もう元の世界に帰れないのではないか? そんな漠然とした不安に襲われたようでした。

旅の初日と二日目は懐かしい人々を尋ねたり、地元の保育園で魔法のショーを開催したりと、慌ただしいパパの予定に合わせて終始笑顔で付き合ってくれたので、「最終日は雪だるまをつくるだけの日にしようね」、そう約束しました。

しかし翌朝、起きるとあいにくの天候で盛岡市内の雪はだいぶ溶けてしまい、残っていても氷のように硬くなっていたため、雪だるまがつくれませんでした。

「スキー場の近くまで行けばもう少し雪があるかもしれない!」

そう思って雫石に向かいましたが、やはり氷のように硬い雪ばかり......。ガッカリする娘を抱きかかえ、ひとまず喫茶店に入ってマスターに事の次第を伝えると、「今朝、雨が降っちゃったから、この雪じゃ固すぎて雪だるまをつくるのは無理だなぁ」とのこと。

諦めて帰ろうとすると、娘が「一生懸命にやれば絶対できるもん!」と食い下がりました。するとマスターが「うちの駐車場の裏は車も来ないし、もしやるんだったら好きに使っていいよ。」と言ってくれたので、ダメ元で挑戦してみることにしました。

雪を削っては集めて丸め、くっつける。削っては丸め、くっつける。

3時間後、小さなちいさな雪だるまが娘の横に立っていました。凍えた指の痛みを感じながらも、汗だくになった彼女の顔はキラキラと輝いていて、とても眩しく見えました。

大切なことを思い出させてくれた娘の姿に胸がポカポカした。そんな旅の記憶です。

こーじ|1979年東京都生まれ。「魔法つかい」としてメディアやイベントに出演する傍ら、お金を介さない価値交換プロジェクト「魔法通貨」や魔法を通して全国にお友達をつくる「魔法紀行」など独自のコンセプトを打ち出す。その他執筆、講演活動など幅広く活動中。日々娘との小さなふたり旅を続けている。

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