みんなの外あそび | No.132
好きなことを外に持ち出す

外で本を読む

中村亮子/料理創作ユニットGoma

自然の中にいるのが好きだ。
森でも、海でも、山でも、空の下にいる時に感じる開放感ってやつは何にも代えがたい。が、実はおんなじくらい好きな場所がある。
本屋。そして図書館。本に囲まれている時のなんともいえない充足感だってたまらない。すぐそこに手を伸ばせば、新しい世界が開かれているのだ。

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二つの「好き」はちょっと種類のちがう幸せだ。アウトドアとインドアなのだから、楽しみ方が別々である。ちぐはぐと人生の楽しみ方が雑食的な私なのだから仕方がない。 と、思っていた。 あるイベントに出会うまでは。

昨年、友人に誘われて遊びに出かけた「ALPS BOOK CAMP」。長野県松本市にある、とある本屋の呼びかけで行われた「本と自然」をテーマにしたイベントだ。気持ちのよい湖畔に古本屋がずらりと並び、人々は思い思いに棚を物色している。さすがに山関係の本が多かったが、小説、絵本、写真集とセンスのよい本が多く、思わず何冊か購入して湖のほとりに座り読書。

「これ、めちゃくちゃ気持ちいい!!!!」

この一瞬でもう虜。自然の中で本を読むことの味を一気に占めてしまったのだった。

それからというもの、隙を見つけては「外で本を読む」ことを楽しんでいる。今年の夏は白馬岳山頂の山小屋前でアルプスを見ながら本を読んだ。三〇〇〇メートル級の山々を眺めながらの読書は格別の幸せだった。

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そして最近ではとうとう「本を読む」ためだけに外に出かけることもし始めた。簡単に吊るせるハンモックテントを購入したのをいいことに、都内から車で二時間ほどで行ける湖畔にハンモックを吊るし、読書だけをしに行ってみた。ハンモックを吊るしてから二時間ほどは終始無言、それぞれの本の中の世界に没頭。

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目が疲れたら上を見ればいい。存在感のある木々に木漏れ日が射しているのを眺めればいいんだから、何て理想的な読書室なんだろう。

喉が乾いたらバーナーで湯を沸かして珈琲を淹れる。それだけで今度は素敵な喫茶室に変わる。

あなたが本と自然が好きならぜひ試してほしい。新しい外あそびの可能性は、いつだっていつもの「好き」のちょっと先にあるのかもしれない。

中村亮子|1977年東京生まれ。食をテーマに創作活動を行うユニットGomaメンバー。個人的な趣味である山登り歴は5年目だが、キャンプやピクニックなど基本的に自然の中にいるだけで幸せを感じる。山ごはんより山おやつ派だが、スキレットとミニダッチオーブンはちょっと気になっている。

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