ネロリとはビターオレンジの花を蒸留して作る精油のこと。生花1tから採取されるネロリは1gといわれる程稀少。モロッコやチュニジアなど北アフリカの各家庭では、昔からビターオレンジの花の蒸留水を化粧水として使用したり、傷薬や胃薬など、また料理の香りづけなどに幅広く利用してきました。

「ネローラ花香房」では、ビターオレンジの代わりに水俣地域の甘夏みかんに目をつけました。ほんのり甘いフローラルなネロリの香りは、心をホッと落ち着かせてくれます。

果実販売だけでは厳しい柑橘農家では後継者が減り、耕作放棄地が増えているのも実情。そんななか、ネロリの原料である甘夏みかんの「花」の商品化は、生産者に希望を与えています。甘夏みかんは柑橘類の中でも特に花つきがよく、集荷する果実の何十倍もの花が咲くのです。

「水俣は海も空もみかん畑も、光あふれる本当にきれいなところ。過去の教訓に基づいて生まれ変わった新しい水俣を見てほしい」と生産者は話し、毎年春に花摘みツアーも実施しています。