高知県南西部、黒潮町。さんさんと降り注ぐ太陽のもとに、「グリーンホッパー吉田農園」はあります。「家族が食べるものを、自分の手で育てたい」という想いから、300坪の土地を借りて家庭菜園からスタートした吉田さんは、自然農法グループとの出会いを経て、現在の自然農法によるしょうが栽培を始めました。

ひとたび病害が発生すれば、畑全体に広がってしまうというデリケートなしょうが。自然農法は難しいといわれるなか、吉田さんは仲間から種しょうがを譲り受け、農薬・化学肥料を使わない自然栽培を追求。刈り草や落ち葉などをしょうがの根元に敷き詰め、植物性の有機物のみ使用するなど徹底しています。

口当たりが柔らかく、甘酢漬けや天ぷらなどにして楽しめる新生姜の収穫は、秋の短い間だけ。それ以降に収穫されるしょうがは、山の斜面に掘った「壕(ごう)」と呼ばれる横穴で保管されます。これも乾燥に弱い生姜を、湿度・温度が一定の自然環境で保つための、グリーンホッパー吉田さんならではの貯蔵法です。

そんな風にして栽培され、保たれてきた吉田さんのしょうがは、驚くほど野性味にあふれています。ピリリとした辛さはもちろんのこと、噛めば噛むほど滋味深い味わいが口いっぱいに広がります。生姜焼きにしてもよし、薬味にしてもよし、ジンジャーシロップにしてもよし。さまざまな使い方に胸躍らされるしょうがです。