「復興に甘えずにずっと続けていくためには、この地にあるものを活かさないと」震災後に石巻でものづくりを始めるにあたり、そう思って素材を探していた田中さんの目に留ったのが、瓦礫のなかで異彩を放っていた大漁旗でした。

大漁旗とは、漁に出た漁船が大漁で帰港する際に船上に掲げる旗のこと。また、新しい船の進水式で、縁のある人たちから豊漁と海上安全を祈って船主に贈られる「祝い旗」でもあります。

さらに、大漁旗は漁師の間で別名「福来旗(ふらいき)」とも呼ばれているそう。約300枚の大漁旗を譲り受けた田中さんは、一時的な支援のためではなく、未来を見据えて活動をスタートしました。

ものづくりの作り手は、石巻の浜のお母さんたち。「働くことは経済的にも精神的にも自立につながる大切なこと。仕事をお願いすることで、お母さんたちは生き生きしています」と田中さんは話します。