大分県別府市は市内の至る所で温泉が湧出し、古くから温泉地として栄えてきました。江戸時代に庶民の湯治が一般的になると、お土産品として櫛などのつげ細工が盛んになりました。

櫛づくりからスタートした「別府つげ工芸」。つげ櫛の需要が減っていく中、3代目の安藤康男さんがつげブラシを開発しました。もともと印鑑や将棋の駒に主に使われるつげの木は、非常に堅く、細かい加工が可能です。

ひとつひとつ手仕事で、丁寧に磨き上げられているブラシの歯には、国産の薩摩つげを使用。粘りがあり折れにくいという特徴があります。

昔も今も別府でつげ細工を手掛ける、安藤さん。「いいモノを作って、後継者を育てたい。商品はマネできても、この場所での歴史はマネできないですから」と話します。