諸国良品

特集真っ白な雪が育む、
北国のニンジン

青森県の西部、世界遺産「白神山地」の麓に位置する深浦町。日本海に面しマグロや鯛の漁が盛んな一方、三方が海に面している立地のため、青森県内では冬の期間一番温暖な気候であり農業も盛んです。そんな深浦町で漁師から農家に転身した一人の男性がいます。

昭和51年、当時漁獲高が落ち込んでいた漁師の坂本正人さんは、漁師仲間と共に日本海に面する海岸段丘の丘陵を切り開き、農業をスタートさせました。最初は半農半漁の生活でしたが両方を手掛けるのは難しく、徐々に農業一筋になり、現在ではニンジン、大根、じゃがいもなどの根菜類を中心に栽培しています。

農業を始めて30年が過ぎた晩秋、それまでにない大雪に見舞われてしまい、坂本さんたちは雪に埋まってしまったニンジンを必死の思いでかき分けました。するとニンジンは凍っておらず、むしろこれまでよりも鮮やかな紅色になっていました。持ち帰って早速食べてみると、ニンジン独特のえぐみや匂いが少なく、これまでに食べたことのない甘くて美味しいニンジンができていたのです。

そこから坂本さんの「ふかうら雪人参」づくりへの挑戦が始まりましたが、深浦町の気候は実は「ふかうら雪人参」の栽培にピッタリでした。というのが、「ふかうら雪人参」は秋に収穫したニンジンを雪の下で越冬させてから出荷するのですが、この地域以上に最低気温が低いとニンジンは凍ってしまい、温度が高いとこの味を引き出すことはできません。ニンジン自体が凍らないように自然に糖分を蓄えるために、一般的なニンジンと比べて格段に甘くなり、初めて口にする人は野菜とは思えないそのフルーティな甘さに驚くといいます。

また、「ふかうら雪人参」を育てている農場では、「自然の上手さ」にこだわります。農薬と化学肥料の使用は必要最低限に抑え、有機質肥料を主体に麦をすき込む緑肥栽培を組み入れた輪作により、自然の力で地力を養っています。 もともとこの地の漁師仲間が集まって作った農場であり、この栽培方法は海の大切さを知る漁師にとって、海を守るための当然の選択であったといえます。

厳しい寒さの中での農作業は決して楽ではありませんが、農閑期に出稼ぎに行くことを考えれば、冬にこの地で働く場所を作ることで、家族が一緒に暮らすことができることが嬉しいと坂本さん。「自然はやっぱりすごい。生命は強いものだ。あの時は本当に雪が憎らしく思えたが、今は感謝している。あのニンジンを掘っていなければ今の自分は無いだろう…。 雪人参に負けないように自分も強く生ぎでいがねば!」と「ふかうら雪人参」への想いを語ってくれました。

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生産地 青森県深浦町