研究テーマ

いつものもしも ―防災についてのプロジェクト再開―

阪神・淡路大震災から16年

今からちょうど16年前、1995年1月17日午前5時46分にマグニチュード7.3の阪神・淡路大震災が起きました。死者6,434名、行方不明者3名、負傷者43,792名。戦後に発生した地震の中で最も大きな被害をもたらしたのは、ご存知のとおりです。この悲惨な体験を教訓として生かすため、地震の被害だけでなく災害への対策、危機管理の仕組み、政府や自治体が取り組むべき課題について多くの議論がなされました。行政だけでなく、この時に活躍したボランティア組織や企業の管理体制なども、この災害を契機に多くの改善がなされたといいます。各地域では、町内ごとの防災訓練なども始まりました。そして、毎年1月17日が近づくとメディアが特集を組み、あの痛ましい災害の記憶を忘れないように、地震に備えることの大切さを呼びかけています。
その一方で、時間の経過とともに、震災の脅威が私たちの記憶から風化していきつつあるのも事実です。みなさんの地域や会社や家庭では、地震に対する意識はどのように変わったでしょうか。震災の教訓は、具体的な形や活動として、いざという時に活用できるように準備されているでしょうか。今も世界各地で多発している地震災害の知らせを聞くたびに、何か対策をと思うものですが、思いながらそのままになってしまってはいないでしょうか。

無印良品の防災への取り組み ―地震ITSUMO展―

3年前、私たちは「防災」への取り組みとして、「地震ITSUMO+無印良品」展(※)を実施しました。阪神・淡路大震災の被災者167人の声から生まれた新しい防災マニュアル「地震イツモノート」を使いながら、震災の体験や記憶を思い出してもらい、災害時に必要なモノ・方法・考え方とは何かを考える展覧会です。普段の暮らしの中では私たちの生活にごく自然に寄り添いながら、いざという時には心強い味方になってくれるモノたちを、既存の商品から選んで展示してみました。家から文房具まで、生活全般に関わる商品を扱う無印良品だからこそできる可能性を、見いだそうとしたのです。そして、その展覧会からすでに3年がたち、また1月17日がやってきました。

大切な人を守るために

地震は止めることはできませんし、発生予測も不可能です。私たちにできることは、日々、地震に備えることだけ。自分自身の問題として防災を考えることが、何より大切です。そして防災は「大切な家族をまもる」こととも言えるでしょう。家族が離れて暮らしている場合、いざという時、すぐに駆けつけることができるとは限りません。だからこそ、防災の意識や知識を、遠く離れた大切な家族とも、ふだんから共有し伝えていきたいと思うのです。

プロジェクト再び始動

防災への取り組みは、継続することがなにより大事です。そこで、再び皆さんと一緒に、「防災」について学び、実践していくプロジェクトを始めることにしました。まずは3年前の「地震ITSUMO+無印良品」展の内容をご紹介することから始め、被災された方や「防災」に関わる専門の方、自治体、施設などにも伺って改めて取材をし、みなさんに最新の情報をお伝えしていく予定です。さらに、一緒に考えていく過程で発見する知識や事実、いざという時に活用できる方法も提案していきたいと思います。
ぜひご参加いただき、ご意見や感想などをお寄せください。 ※「地震ITSUMO+無印良品」展竏猪ウ印良品有楽町店にて2008年1月16日~2月3日、8月29日~9月21日。木楽舎との共同企画展

[プロジェクト]いつものもしも
※2011年1月より「良品と防災」という名称で取り組んできたプロジェクト名を「いつものもしも」に変更しました