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火を囲む ―薪ストーブの魅力―

一年のうちでもっとも寒いこの時季、みなさんのご家庭では、どんな方法で暖を取っていらっしゃいますか? 昨年、東日本大震災が起きた3月11日も、まだ寒い時季でした。地震直後の停電時はもとより、その後の計画停電でも、暖房器具が使えず寒さに震えた方も多いことでしょう。エアコンはもちろん、石油ストーブですら電気がなければ着火できないものもある。そんなことに改めて気づかされたのも、あの大震災でした。それ以来、薪ストーブが見直されているようです。

薪ストーブの歴史

薪ストーブは、もともと暖炉から発展進化した暖房器具です。暖炉以前の暖房はヨーロッパでも囲炉裏で、それが現在のストーブへとつながる形に進化したのは10~15世紀頃。室内に充満する囲炉裏の煙を効率よく排出するため、部屋の壁に煙道を設けて囲炉裏を壁に押し込んだのが暖炉でした。そしてその暖炉の熱効率をさらに高めようと、密閉された鉄の箱の中で薪を燃焼させ、鉄を暖めて放熱するようにしたのが箱形の薪ストーブ。考案したのはアメリカの政治家・発明家として名高いベンジャミン・フランクリンで、1740年に発明されたそれは「ベンジャミン・ストーブ」と呼ばれ、今日の薪ストーブの原型とされています。

体も心も、あたたまる。

薪ストーブのあたたかさは、ひだまりでひなたぼっこをする時のぬくもりに似ています。その秘密は、「輻射熱(ふくしゃねつ)」。暖められた薪ストーブ本体から遠赤外線が放熱され、人や周囲のものを暖めてくれるのです。
物理的な暖かさだけではありません。炎のゆらぎ、木の燃える音や香りなど、五感で感じるさまざまなものが、心をほぐし温めてくれる。薪ストーブの前に集い体を寄せ合えば、多くを語らなくても、心を寄せ合うことができるでしょう。
火に安らぎや癒しを見出す生き物は、人類だけと言われます。それはもしかしたら、太古の昔から火と親しんできた遠い記憶が呼び戻されるせいかもしれません。

薪は循環型エネルギー

薪ストーブに使う薪といえども、燃やせば二酸化炭素は発生します。しかし、薪を燃やして発生する二酸化炭素は、樹木が生長する段階で空気中から取り込んだ二酸化炭素。つまり、もともと空気中にあった二酸化炭素です。そして、薪を燃やすことで発生した二酸化炭素は、樹木が生長する際にまた吸収されていきます。もともとあった二酸化炭素を人間と木の間で循環させているのですから、地球上の二酸化炭素濃度は変わりません。こうした二酸化炭素の循環は「カーボンニュートラル」と呼ばれ、数億年前から変わることなく今も続いています。
一方、石油などの化石燃料は、永い年月をかけて地下に閉じ込められた過去の燃料を「今」燃やしているわけですから、その分、地球上の二酸化炭素量は増加してしまうのです。
さらに、薪ストーブの普及率が高い欧米では、2000年以降、車などの排出ガスと同様に薪ストーブから出る煙の規制も始まりました。環境にやさしい暖房器具として、今後ますます存在価値を増していくことでしょう。

もしもの時も。

天災で停電になりライフラインが切れる怖さを、私たちは昨年の東日本大震災で身を持って体験しました。一般の暖房器具が使えなくなったそんな時でも、薪ストーブのある家庭では、慌てることなく、ロウソクやランプの灯りを楽しむゆとりがあったと言います。もちろん、地震の後は煙突などの点検が必要ですが、自前のエネルギーを持つことは大きな強み。もしもの時も暖を取ることができ、お湯が沸き、煮炊きできるという安心感は、計り知れないものがあるでしょう。分散型のエネルギーを考える上でも、薪ストーブがひとつの解答になるかもしれません。
都会では薪の調達が困難、という方には、木材を小片にしたチップや樹皮・おが屑などをリサイクルした木質ペレットも出回っています。また、里山再生のボランティアなどに参加して、間伐材を分けてもらうのもいいでしょう。

みなさんは、薪ストーブについて、どう思われますか?
設置はできないにしても、電気や石油を燃料としない「暖」を考えることは、暮らしのあり方や地球環境について考えることになるかもしれません。
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