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#06 3年目となる生産現場を訪問しました 2

今回は、現地での活動に加えて、少し生産者の現地の様子や、モノづくりで共感できること、歴史なども加えてご紹介したいと思います。

1.UKからの寄付の本の授与式

2012年12月に、ロンドンのMUJIのお店でお客様よりお預かりした英語の本を無事に、生産者の施設の図書室へと寄付することができました。地域の子供たちが、本から、たくさんの事を学んで、大人になってほしいなと思います。

昨年のMUJIロンドンでの店舗での寄付の様子

図書館と寄付で集まった本

今年訪問時に、本の授与式を実施させて頂きました。

2.セミナーの実施

毎年、ケニアの生産者へセミナーを実施しています。毎年の取組みの中での、達成できた良かった点、未達成点などの情報を共有したり、実際に生産者の皆さんが、作った商品が工房を出てから、どのように運ばれて、パッケージされ、どのように販売されるのか、そしてどの商品がどれだけ売れたのかについて、フィードバックします。

このようなフィードバックを通して、商品の流れや最終消費者に売るというビジネスについて学習をしてもらいます。実際に、生産者のリーダーからも、今年は「マーケットに合うものを作りたいのでデザインのトレンドやニーズを知りたい」という前向きな話をいただきました。
そして、生産者の一人からは、「いつも普段着を着て作業しているが、一部の職人が着ているような作業着があると、作業効率があがる」とソープストーンの削る粉で粉だらけになりながら働いているところの環境改善についての意見も頂きました。

最後には、不思議なおまじないのような閉めの掛け声がありました。

3.ソープストーン彫刻の歴史

ソープストーン彫刻の歴史はとても長く、古くは4000年ほど昔の人々がソープストーンの岩に描いたロックアート(岩石芸術)にさかのぼることができるそうです。現在の形のような、ソープストーン彫刻や産業が始まったのは約300年前からとのことだそうです。昔は、下記にあるような壺に油や調味料を保存したり、ボウル、皿、タバコのパイプなどとして形作られ、日々の生活の中で使われていました。今は、観賞用の置物やお土産として、色とりどりの商品が増えています。
この地域のソープストーンは、世界の他の地域で取れるソープストーンとも成分が異なる珍しいもので、世界中でもこの地域でしか取れない石のため、地域の名前をとって Kisii Stone とも呼ばれています。一説には、埋蔵量の数パーセントしかまだ採掘していないとのことで、産業としての発展の可能性はあるそうです。ソープストーン彫刻は、ケニアの手工芸品輸出の40%を占めるとも言われている上、この地域の過半数以上の人が関わっているので、Kisii発のケニアを代表する、伝統ある地域産業といえます。

4.無駄のないモノづくりへの工夫

ほしいものはいつでも購入できる私たちとは異なり、ケニアの生産者のところでは何でも手に入るわけではありません。だからこそ、自分たちの出来ることで環境にも配慮しながら、様々な生産への工夫がなされています。

1)道具

石を掘り下げるための道具は、ヤスリ、ネジ、タイヤのゴムなどを使って作っています。道具が簡単に手に入らない環境で、自分たちの工夫により、入手できるものから使い勝手の良い道具を作る知恵があります。

2)梱包材

出荷の際に使うダンボールは、使用済みのものを入手し、裏返して内箱、外箱に再利用して使っています。また、緩衝剤も古新聞紙とPCプリンタの廃棄紙をシュレッダーにかけたものを利用しており、モノがない中での工夫がそのまま環境へもやさしいものづくりになっている。
私たちへ日本に一旦送付される際には、この使用済みのダンボールと緩衝材を使って送付されます。日本で検品・梱包する際に、MUJIの梱包箱に入れ替えられます。

3)ソープストーンの残粉

ソープストーンは、削ると粉が出ます。これらはチョークの原料や、牛糞と混ぜて壁材にするなど、再利用することが可能です。

5.ケニアのおもてなし

今年で3年目となりますが、訪問するたびに「カリブ カリブ(ようこそ ようこそ)」というフレンドリーな生産者の姿に嬉しくなります。
今回は、特に訪問時の番外編ということで、生産者の皆さんとの食事について紹介します。皆で作って皆で食べます。このキシイの地区は、雨もちゃんと降り、植生も豊かで、たくさんの食べられる実や果物が収穫される地域であります。

毎朝、ミルク入りコーヒーを飲むことから、一日は始まります。

そして、午前中、何名かの女性が、グループの皆のために、調理を始めます。

大きな鍋を使う調理は、外で薪を使って行います。

皆でおしゃべりしながら準備します。

美味しくできあがりました。

基本的には自分の食べたいものを自分で盛り付けて食べます。

そして、手を使って上手に食べます。

さあ、どうぞ!と勧められることも。

お昼を一緒に食べているうちに、すっかりケニアの家庭料理にファンになってしまいます。

そして、最後は全員で集合写真。今年も、無事に生産して、お店で皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

このコラムはJICAケニアの協力の下、無印良品のプロジェクトメンバーが書いています。