無印良品の「窓の家」 2008年度 グッドデザイン金賞受賞
無印良品の家が目指した“グッドデザイン”とは
1.  暮らしから家づくりを考える
家が暮らしの主役なのではなく、人々の暮らしから家を発想する。これが「無印良品の家」の出発点です。そこに求められるのは、便利な設備を詰め込むことや、豪華さを競うことではありません。無印良品の家が求めたのは、暮らしを家に無理矢理押し込むのではなく、住まい手が自在に家の中の空間を使いこなせること。そして、暮らしの変化に応じて空間を柔軟に変えられることでした。
2.  永く使える、変えられる
建物自体は十分使えるのに、家族の成長に家や間取りを合わせられず、建て替えられる例は少なくありません。それは資源の浪費にもなり、地球環境にも負荷を与えてしまいます。住宅を永く大切に使うには、建物の頑丈さはもちろん、高性能に裏付けられた快適性の追求や、家族の変化に対応できる空間の可変性であると考えています。
3.  暮らしにおける「窓」のあり方
「窓の家」は、「窓」のあり方を、暮らしの中で改めて考え直した家と言えます。窓から望む景色は家族の心に刻まれ、語られ、愛される大切な光景になります。その掛け替えのない光景を、一枚の絵画のようにすっきりと見せたい。そのため窓は、枠や桟をなくして風景を見せる純粋な開口になるよう考えられています。暮らしを中心に窓を捉え直すと、通風や採光といった機能だけではない新たな働きが見えてきます。
「窓の家」の“かたち”は普遍的でベーシックな家のフォルムをさらに洗練させることによって、時代に左右されない力強いデザインを目指しました。しかし、「住まい」における本当の“グッドデザイン”とはいわゆる外観や内部の空間デザインとしての“かたち”だけではありません。住まいとしての機能や性能が生活者視点に立ってデザインされているかどうかではないかと考えています。